更年期になると、心臓の鼓動を強く感じ、胸がドキドキしたり、不整脈を以前よりも感じることがあります。ほてりの最中に動悸を自覚したり、あるいは動悸に誘発されて、パニックや不安を感じることもあるでしょう。このような更年期女性は一定数いますが、他の症状に関連している場合もありますので、不安な時は医師に相談してみましょう。
動悸を経験する割合と傾向
動悸は更年期の一般的な症状であり、最近の英国の調査では、45 歳〜65歳までの女性の約26%が動悸を経験しているという報告があります1。
動悸が更年期と関連している場合は、ほてりなど他の更年期症状と同様に落ち着く可能性があります。
動悸の原因
更年期には、卵巣で作られるエストロゲンの分泌量が著しく減少します。これにより、心拍数が増加したり、動悸や心配のない不整脈が起こることはよく知られています。また、カフェインやアルコール、ニコチンの摂取なども刺激要因として挙げられています。
動悸に関連する項目
カフェイン、アルコール、ニコチンの使用
一部の咳止め薬、風邪薬、喘息吸入器
発熱
心房細動や上室性頻脈などの不整脈
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能低下症
低血糖または低血圧
脱水
激しい運動
動悸の治療方法
閉経周辺期および閉経期の動悸は比較的軽く、治療をせずに自然に治まることが多いですが、症状の改善にはライフスタイルの見直しが役立つかもしれません。一方で、動悸が持続的、あるいは頻繁であったり、長期間続く場合、また運動がきっかけである場合などは、医師の診察を受けることをおすすめします。
アルコールやカフェインを避ける
カフェインレスのコーヒーに切り替えるなど、日常での少しの工夫が症状改善に役立つことがあります。
リラックスする方法を見つけ、実践する
呼吸法などを活用し、心と身体をリラックスさせることで動悸を抑える一助となるでしょう。
ホルモン補充療法(HRT)
ホルモン補充療法 (HRT) は、更年期障害に対する標準治療法であり、動悸にも効果があることがわかっています。
*1 : Currie H, Moger SJ. Menopause – Understanding the impact on women and their partners. Post Reproductive Health. 2019
監修者:江藤亜矢子(日本更年期と加齢のヘルスケア学会 理事)
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