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気分のむら(落ちこみ)

気分のむらは、更年期によく現れる症状ですが、メンタルヘルスの問題として起こる場合もあります。

更年期にエストロゲンが急激に減少すると、セロトニン(気分や感情を調節するホルモン)の働きも低下すると考えられており、これが更年期に見られる気分のむらの原因とも言われています。


気分のむらを経験する割合と傾向

  • 2018年に実施された中国での調査では(40歳〜55歳の女性6,745人を対象)では、更年期症状のある女性の 37.2% が気分のむらを報告しています1

  • 2019年の英国の調査では、45 歳〜65歳までの女性の52%が気分のむらを経験しているという報告があります2

  • 1991年のノルウェーの調査(40歳〜55歳の女性1,886人を対象)では、対象女性の10%が気分のむらがあると答えています3

同じ更年期女性を対象にした調査でも数値にばらつきが見られます。この背景には、文化的および人種ごとの生物学的な要素が影響しているのではないかと言われています。


気分のむらの原因


更年期症状はさまざまな要因が重なって起こるため、気分のむらの原因をひとつに特定することはできませんが、その出現に女性ホルモンの変化が影響していることは理解しておく必要があります。更年期には、卵巣で作られるエストロゲンの分泌量が著しく減少しますが、それに関連してセロトニンなどの気分に影響を与えるホルモンや神経伝達物質の調節がうまくいかなくなります。そのため、不安という症状として現れることがあります。産後うつ病や月経前症候群(PMS)の経験者は、女性ホルモンの変化に敏感なため、閉経期にも気分の変化をより強く自覚するかもしれません。


気分のむらの治療方法

  • ホルモン補充療法(HRT)

気分のむらが更年期症状に関連している場合には、抗うつ薬よりも原因治療としてのHRTの方が気分や不安を改善するのに優れていると言われています。

  • 認知行動療法(CBT)やカウンセリング

カウンセリングと認知行動療法 (CBT) は、多くの女性にとって自分の気持ちを整理したり、認知や行動の変化を促すのに役立つ薬以外の治療法になります。

  • 抗うつ薬

更年期と関連性のない不安障害に悩んでいる場合、抗うつ薬はその症状緩和に効果的ですが、副作用もありますので、医師とよく相談してから服用することをおすすめします。

  • リラクゼーション

呼吸法、瞑想、マインドフルネスなどで、自分の気分をコントロールすることもおすすめです。いくつかのアプリが出ていますので、それらを活用するのも良いかもしれません。



1. Xueyin Wang, Linhong Wang, Jiangli Di, Xiaosong Zhang, Gengli Zhao. Prevalence and risk factors for menopausal symptoms in middle-aged Chinese women: a community-based cross-sectional study 2018

2. Currie H, Moger SJ. Understanding the impact on women and their partners. Post Reproductive Health. 2019

3. A. Holte. Prevalence of climacteric complaints in a representative sample of middle-aged women in Oslo, Norway


監修者:江藤亜矢子(日本更年期と加齢のヘルスケア学会 理事)



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