食物繊維の種類と働き
食物繊維には、水溶性と不溶性の2種類があります。水溶性食物繊維は腸内で分解され、腸の中にある便のすべりを良くすることで排便を促します。また、小腸での栄養素の吸収を緩やかにし、食後の血糖値の上昇を抑えます。不溶性食物繊維は、水分を吸収して便の嵩を増し、それが腸管を刺激して腸の動きを高めて排便を促します。
更年期とのかかわり
腸の健康、体重管理サポート
腸の健康を保つためには、食物繊維を十分に摂ることが大切です。腸の健康に寄与する腸内細菌(善玉菌)の多くは食物繊維を好むため、十分な量の食物繊維を摂ることで、便秘や鼓腸(腹腔内のガス)、膨満感など、多くの更年期女性に共通の課題を防ぐことができます。
また、食物繊維が豊富な食品の多くは歯ごたえがあり咀嚼回数が増えるため、満腹感を得られると言われています。また、食物繊維は水分を含んで嵩を増すことから腹持ちしやすく、ダイエット効果も期待できます。
生活習慣病の予防
更年期にエストロゲンが減少すると悪玉コレステロールが増加しますが、水溶性食物繊維は糖・脂質・悪玉コレステロール・ナトリウムを吸着して体外に排出する働きがあります。このため、糖尿病、脂質代謝異常症、動脈硬化・高血圧など、更年期に見られるさまざまな生活習慣病の予防に効果があります。
摂取目安量
日本人は、1950年頃には一人あたり一日20gを超える食物繊維を摂取していましたが、食生活の変化に伴って減少傾向にあります。最近の報告によれば、平均摂取量は一日あたり14g前後と推定されています(※1)。生活習慣病の予防のために、成人1人1日当たり男性で21g、女性で18gの摂取が目標とされています。(※2)
日本人の通常の食事では食物繊維をとりすぎる心配はありませんが、サプリメントなどを使用する場合に過剰摂取すると、ミネラルの吸収の妨げになったり、おなかが緩くなる可能性があります。
また、算定に用いられた研究の多くは、通常の食品に由来する食物繊維であり、サプリメント等に由来するものではないので、サプリメント摂取が食品摂取同等の健康利益を期待できるかは検証されていません。
食物繊維が豊富に含まれている食材
食物繊維は、野菜類、穀類、豆類、きのこ類、いも類に多く含まれています。
▪ 豆類
納豆(1パック、50g)/3.35g
おから(1食、50g)/5.75g
冷凍枝豆(100g)/7.3g
▪ きのこ類
きくらげ(乾燥品・3枚/3g)/2.3g
干ししいたけ(大1個/5g)/2.3g
えのきだけ(生1パック/100g)/3.9g
▪ 穀物類
ライ麦パン(1枚/60g)/3.36g
▪ 芋類
こんにゃく(½枚100g)/6g
▪ 野菜類
切り干し大根(1人前/15g)/3.1g
オクラ(6本/60g)/3.1g
ブロッコリー(茹で¼株/100g)/4.3g
▪ 果物
アボカド(1個)/5.6g
キウイ(100g)/2.5g
● 摂取量を増やすヒント●
▪ 野菜は皮付きのままにする
▪ チアシード入りの高繊維質のシリアルを食べる
▪ シチューやカレーに豆類を加える
※1 平成 28 年国民健康・栄養調査
※2 日本人の食事摂取基準2020年版
(参考)
厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020年版
厚生労働省 令和元年国民健康・栄養調査
厚生労働省 e-ヘルスネット
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版
栄養素辞典
公益財団法人長寿科学振興財団
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